モンテアルバン
メキシコ南部の都市オアハカは山々に囲まれた高地の盆地で、サポテカ人、ミシュテカ人による文明が栄えた。夏でも穏やかな気候は湿度の高いメキシコ湾岸のベラクルス州やマヤ遺跡が展開する高温多湿のユカタンとは大きな違いで、コロニアル時代の面影を遺す町並みが美しいオアハカ市には多くの観光客が訪れる。市の周辺には大小いくつかの遺跡が点在しているが、中でも最も規模が大きいのがサポテカ人の都市モンテ・アルバンの遺跡だ。山の上に展開する、一種の空中都市のような様相で、十以上もの神殿や居住用の建造物が並んでいる。海抜2000メートル近い場所だが、麓の町とは400メートルほどの差しかない、小さな山だ。都市の建設は紀元前500年にまで遡る。以後1200年ほどにわたってオアハカ盆地を制するが、紀元750-1000年頃の時代には次第に衰退していく。オアハカ盆地の中心的都市としての覇権は失われたが、その後も放棄されることなく15世紀くらいまで使用されたとみられているという。遺跡には「踊る人」と呼ばれる、裸で体をゆがめた人物を刻んだ石盤が数多く残っているが、近年は、これは踊っている人ではなく、捕虜となって拷問され、血を流して苦しんでいる様を描いたものだという説が支配的だ。1991年と2007に訪れたが、修復が少しずつ進行している。 |